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【平敷屋大蛸綱引きとその起源】 【縄打ち】 【綱引きの小道具と役割】 【綱引き場の状況】 |
綱引きに使用された道具や役目 綱引きには旗頭はつきもので常にその陣営の先頭に位置した。 平敷屋の旗頭は灯籠は取りつけない。頭の部分には長さ約一米の木製 の剣や薙刀に模したものが取りっけられ、剣は雄綱、薙刀は雌綱と 決まっていた。幟一旗一の下地は概ね紫色で旗の構図は猛虎の雄姿 が鮮かに染め抜かれていた。 頭と旗の間には花形の駈壮が放射状に 広がり、道ズネの場合上下に揺れる様は壮観であった。 松明 平敷屋では松明(てー)とよんでいる。 真竹を握り易い太さに束ねてもち、 合図、照明、士気の鼓舞の外、綱引場の整理、警戒、「ヤーサイ」 (両陣営の男衆がブツカリ合い押し合って気勢をあげる示威行為) で双方がなかなか分離しないときも松明持ちの役目であった。 また ヤーサイで力を入れない者は容赦なく松明のお見舞いを受けた。こ の松明持ちは場内では大事な役目であり長老格があたった。 C「楽隊」 楽隊は十二歳から十四歳までの少年組である。その組織は鉦鼓打 ち二名銅鐸打ち二名太鼓打ち二名法螺貝吹き一名をもって編成さ れ、たえず旗頭と一体となって行動した。 鉦鼓には雌雄があって音も随分異なっていた。雌鉦鼓は軽快な音 がしたし、雄鉦鼓は重厚な響きがした。 銅鐸打も大事な役目であった。これも雌雄があって、雌鉦は薄く、 雄鉦より梢大きかった。 適当にうてばよい響きがしたが強く打ちす ぎると割れたような音がした。また雄鉦は梢小さいが肉が厚く打っ と振動が手に伝わった。コーンと長く重厚な響きがした。これらの 銅鍵の音は大きくいよいよ綱引き気分をかきたてた。 法螺貝 法螺貝吹きも大切な役目であった。 法螺貝は大形の巻き貝で、 小さく巻いた部分に穴をあけラッパのように吹くと大きな音がで た。法螺貝の音は大事の前の緊張感をかきたてた。勝負を要する行 事には欠かせない道具の一つであった。 昔から合戦や城攻めの際に は法螺貝が吹き鳴らされ、それを合図に我れ先にと先陣を競ったと 伝えられている。 楽 その他綱引場で吹き鳴らされるガクがあった。ガクはチャ ラメルよりやや大きく元々銅製か鎮録製であった。吹奏部分に麦の シベを取り付けて吹く。 あの一種独得で哀愁漂う音は六十年の星霜 を経てもついこの間のできごとのように鮮明に脳裏に焼き付いてい る。 当時ガク吹きの名手といえば後仲嶺の山戸お爺一仲嶺忠吉氏の の祖父一さんだった。 ガクの音は他の楽器が勇壮で躍動的であるの に対し、沈着、冷静、且つ理性を取り戻させるのに効果的な響きが あった。だからヤーサイの後や綱を引き終わったあとによく吹き鳴 らされた。 出陣 午後になると大綱の控所より出陣の触れ太鼓が打ち鳴らされた。 満を持して待機していた男たちは、家のものを急き立てながら一足 先に素飛んでいく。控所には既に大方の連中が武者震いしながら待 ち構えていた。 暫くして人数が揃ったところで出陣の太鼓が打ち鳴 らされ、これに呼応して鉦鼓や銅鍵も打ち鳴らされ、サーの歓声と 共に大綱が担ぎあげられ、平敷屋まーめざして道ズネー(デモンス トレーション)が始まった。 勇壮な旗頭を先頭に楽隊の少年隊が先 陣を切って行進する。きょうの打楽器は本番とあって一段と高らか に鳴り響く。 続いて大綱が堂々の行進をする。 若手の精鋭たちはカ ニチを頭上高く捧げ持ち、威風堂々四辺をはらう。行進が道路のあ じま(十字路)に差しかかると鉦鼓や銅鍵が急わしく一段と大きく 打ち鳴らされ、カニチ綱の若者たちがこれに呼応してカニチ綱を宙 天高く舞わせる。 また力自慢の旗頭持ちは、このときとばかり澤身 の力で旗頭を舞わせる。実に壮観であった。 |
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